昔、「コンピューターの2000年問題」というのがあった。
コンピューターは日付と時間がシステムにとって重要になるらしい。だが日付管理は当初西暦下2桁で行われていたという。そのため1999年から2000年に代わる瞬間、システムは「00年」が1900年なのか2000年なのか判断出来なくなる。その頃既にライフラインの多くがコンピューターで管理されていたので、1999年の大晦日から2000年の元旦にかけてあちこちで誤動作が多発するかもしれないと騒がれた。あらゆるところ(大も小も)のシステム管理部門担当者はその大晦日寝ずの番をした。
わたしの友人も大量の食料や飲料を買い貯めていた。後にたいした問題も起きず、その買い貯めた品々でパーティをした。「どうして非常用飲料なのにジュースばっかりなんだ!」と大笑いしたのだが、あの時は多くの人が買い貯めに走った。時代だった。
振り返れば、大きな事故も異常もなく過ぎ去ったのが不思議なくらいの大騒ぎだった。今、笑い話のように思い出せるのは、ひょっとしたらシステム管理当事者が、かなり早くから、しかも長い時間をかけて対策してくれていたそのおかげかもしれない、しらんけど。ただ、あの頃はそれだけ人々が優秀だったのだ。
今、政府が躍起になって行政のDX化を進めているようなのだが、その1丁目1番地たるマイナンバーカードで大いにズッコケてしまっている。情報が正しく紐付けされないトラブルがおよそ8500件あまりに上るという。マイナンバーはそれこそこの国の国民すべてに割り振られるナンバーだから8500件は対人口比で0.007%程度。だけど「個人情報の紐付けミス」なんて国民にとっては気持ち悪い「あってはならない事故」なのだ。
デジタル化がどうしても必要だという理屈はわかる。だけどシステムエラーが「あってはならない、けれどある」のか「あってはならない、だからない」のかでは印象は180度違う。
そしてどうも政府の対応は後者に見えてしまうのだ。